イノベーションへの解:第1章 成長という至上命令 (3)

『イノベーションのジレンマ』は、利益を最大化させる資源配分メカニズムが、特定の状況下では優良企業を滅ぼすことを説明する理論をまとめた。それに対して『イノベーションへの解』は、新規事業を狙い通りに発展させ、破壊される側ではなく破壊者となって、ライバルの実績ある優良企業を最終的には破滅に追い込まねばならないマネージャーに指針を与える、さまざまな理論をまとめている。

狙い通り成功するためには、破壊者は優れた理論家でなければならない。また成長事業を破壊的な事業として形成するためには、重要なプロセスや意思決定をすべて、破壊的イノベーションの状況に合わせて調整する必要がある。

最後に、本書で取り上げる問題をまとめると次のようになる。

  • 第2章
    • どうすれば最強の競合企業を打ち負かすことができるか。
    • どのような戦略を取れば競合企業に滅ぼされ、また逆にどのような行動方針に従えば優位に立てるか。
  • 第3章
    • どのような製品を開発すべきか。
    • 顧客は従来製品に対する、どのような改良に喜んで割増価格を支払い、どのような改良には関心を払わないか。
  • 第4章
    • 利益ある事業を築く上で、最も発展性のある基盤となるのは、どのような初期顧客か。
  • 第5章
    • 製品の設計、生産、販売、流通に必要な活動のうち、どれを社内で行い、どれを提携先や下請け業者に任せるべきか。
  • 第6章
    • どのようにすれば利益の源泉である、強力な競争優位を確実に維持できるか。
    • コモディティ化の前兆を捕らえるには、どうすればいいか。
    • 利益を維持するためには、何をすればいいか。
  • 第7章
    • 新事業にとって最適な組織構造とは何か。
    • どのような組織部門やマネージャーに、新事業の成功を導く責任を任せるべきか。
  • 第8章
    • 必勝戦略の細部を正しく詰めるには、どうすればいいか。
    • 柔軟性が重要なのはどのようなときで、柔軟であるがゆえに失敗するのはどのようなときか。
  • 第9章
    • 誰の投資資金が成功を促し、誰の資金が命取りになるか。
    • 各発展段階で、最も役に立つ資金源はどれか。
  • 第10章
    • 事業の成長を持続させるために、上級役員はどのような役割を果たさなければならないか。
    • 上級役員は新成長事業の運営を誰に任せるべきか。
    • 上級役員が新事業に干渉すべきでないのはいつで、関与すべきなのはいつか。

<参考文献>
クレイトン・クリステンセン (著), マイケル・ライナー (著) (2003)『イノベーションへの解:利益ある成長に向けて』翔泳社