2023.10.18 108. 財務諸表分析の基礎 財務諸表分析と経営分析 会社法や金融商品取引法にもとづく財務諸表は、基本的には、企業の株式、債券を売買しようとする投資者や企業に融資をおこなう債権者が活用することを前提にしている。 財務諸表上の数値から企業の状況を正確に把握するためには、財務諸表上の数値を理解しやすい形に変換してみることが必要である。 財務諸表分析と類似する諸概念 一般に財務諸表分析は「経営分析」ないし「財務分析」といわれる。 財務諸表分析は、収益性、生産性、安全性、成長性等の観点から、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を用いた比率分析によって企業経営の成果を分析・評価する。 経営分析は、経済統計産業統計等の統計的資料を含め、人事や生産、マーケテイング、経営戦略といった財務諸表とは直接には関係のない分野の資料も活用し、多角的に企業を分析・評価する。 数量化することが難しい要因に関わる定性的な資料活用してして分析を行うことも多い。 さまざまな企業の外的要因や内的要因を勘案して企業評価を行う。 内部分析と外部分析 財務諸表分析と経営分析は.分析主体の目的によって.大きくは内部分析と外部分析に分類することができる。 内部分析とは、企業のトップマネジメント等の食業内部の主体による分析である。 外部分析とは、債権者やとうっ者といった企業外部の主体による分析である。 外部分析は、信用分析と投資分析に分類することができる。 信用分析とは、銀行等の金融機関が貸し出し先の債務弁済能力を評価するために行う分析である。 投資分析とは、証券の投資価値を判断するために行う分析である。 外部分析では、企業が開示する財務情報のみしか用いることができない場合が多い。 財務諸表を用いた分析の限界 公開された財務諸表が粉飾等による偽りの資料であるということがある。 財務諸表分析では、貨幣数値に数量化できない要因の分析が不可能なことがある。 会計処理方法が変吏された場合には、企業の時系列的な分析が困難になる。 財務諸表が過去の経営活動の成果を示すものである以上、財務諸表の資料のみをもって将来を語ることは難しい。